加計呂麻島、芝の豊年祭・敬老会で
さまざまな演目を楽しみ、
最後は、一番の呼び物「相撲甚句」の登場です。
ヨイヤー! ヨイヤー! ヨイヤー!
ワイドー! ワイドー! ワイドー!
化粧まわしをつけた女性陣が入場してきます。
相撲甚句とは、土俵の回りや上で力士が円陣を組み、
独特の節回しと歌詞に合わせて
勇壮な踊りを披露するもの。
瀬戸内町では、古仁屋豊年祭や阿木名豊年祭で
相撲甚句が歌われているのですが、
芝は、なんと女性陣だけで踊られています。
芝の相撲甚句は、
芝ならではの地名や景色、
カツオ漁のことなどを歌っていて
とても興味深いもの。
女性による相撲甚句は、九州でも宮崎や佐賀、
鹿児島の大隅などに伝えられており、保存会が結成されているところも。
芝にこのような芸能が伝わった経緯としては、
明治期以降の一時期に、
大島・加計呂麻のいくつかの集落でカツオ漁業が盛んに。
そのなかで人との交流があり、
本土系芸能(棒踊りなど)が島に入ってきたのではないか、との説があります。
「 芝の相撲甚句 」
一.
エー 揃た揃いました
相撲取り衆が揃た
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
エー わしが相撲とりゃ
馴染みが嫌うヨー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
馴染み嫌うな 言うて聞かそ
相撲取りこいつと言うものはーアー
油のような酒を呑み
水晶のようなご飯食べ
エーいたちの毛のような煙草吸い
芸者舞妓を肌にして エー
好きな相撲取りゃ ヨーホエエー
やめらりょかヨー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
汽車が通れば 田んぼ道
ニワトリかかえてキャッキャと啼かせて
けっこうなもんじゃい もんじゃい
二.
エー 芝の景色をちょいと眺むればヨー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
高鉢山を腰に掛け
東の入口 大江岬
西の入口 立神で
向こう見渡す花天字ー
発動機船もヨホエー
エー絶え間なくヨー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
三弦間口の鍬よりも
良い鼻持ったが
一生の得じゃい得じゃい
三.
今度 この節 漁業についてヨー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
芝の漁船は平祐丸
脇田丸には豊島丸
いずれ劣らぬ若人が
今日も旗々 明日も旗
釣り込む 鰹はヨー ヨホエ
エー 金の山よ
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
親方さんは二号も三号も持ったか
一生の得じゃい 得じゃい
(※二号、三号は船のことを読んでいる)
四.
エー あまり長けりゃー
お客のおじゃまよー
(ハヤシ)トコドスコイ ドスコイ
これで止めましょう 止めましょうか
またの折をば楽しみにー
どうぞごひいきにヨホエー
エー願いますヨー
トコドスコイ ドスコイ
お気づきになられたでしょうか?
この化粧まわし、実はお米の袋を裏返しにしたものを使っています。
自分の名前をもじったり、趣向を凝らした絵を描いたり。
これを見るのも楽しい。
出演した婦人会のみなさん。大役を終えて、ホッ。
余興の練習、準備、そして相撲甚句と大活躍です。
敬老会代表挨拶、閉会宣言、万歳三唱で、
今年も無事に芝の豊年祭敬老会は終了しました。
集落の人々も、観客のみなさんも
そこにいるみんなで八月踊り。
中学生もちゃんと踊ります。
「簡単ですよー」と踊りを教えてもらいながら、
私も見よう見まねで参加。
みなさんリズム感がよく、
複雑な踊りをかろやかにこなしているのです。
話は前後しますが、豊年祭・敬老会ではお祝いの寄付をすると、
お弁当や飲み物などの接待を受けられます。
席を準備していただき、じっくりと楽しめるのでおすすめです。
おつまみ?のモッカ(パパイヤ)の漬物が絶品でした!
おみやげにもたくさんいただき、その後も食事のお供に。
片付けなども終了し、
夕方5時半に帰りの海上タクシーが古仁屋方面へ出発。
みなさんお元気でーー!
芝集落関係者のみなさん、
「バッケバッケ」、そして「豊年祭・敬老会」と2日間大変お世話になり、
とても楽しい時間を過ごせました。
ありがとうございました!
参考文献:「芝の相撲甚句 」町 健次郎 (雑誌『ホライゾンvol.35)
2012.10.7
瀬戸内町 加計呂麻島 芝
S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K
鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内