清水 八月踊り

2012年09月15日 | 関連する集落:清水
ある夜、清水(せいすい)集落の公民館からシマ唄が聴こえてきました。

近寄ってみると、
町内にお住まいの森さんが三味線片手に「朝花節」を歌っているところ。
挨拶代わりにまず最初に歌われるシマ唄です。

森さんを囲んでいるのは、
大阪からやってきた近畿大学の6名の学生さんたちと、
引率の清(きよし)教授、講師の図師(ずし)さん。
一行は、8月21~28日、
奄美合宿のため来島中でした。
 


シマ唄の歌詞、三味線についてなど森さんが解説。

学生たちは初めて聴くシマ唄で歌詞は分からないものの、
何かを感じ取っているよう。


この近畿大学の合宿は、
文芸学部清 眞人(きよし まひと)教授のルーツが瀬戸内町にあることから、
4~5年前にスタート。

学生たちは、清水集落の公民館で寝泊まりしながら、
ここを拠点にさまざまなシマの体験していました。

 



今年参加した学生は、文芸学部5名、経営学部1名。
専攻も日本歴史、世界歴史、現代文化など多岐に渡っています。

なんと、この合宿は単位にはならないんだとか!

それでも、学科・学部を越えて集まってくるのは、、
主体的に奄美への興味を持ち、学びたいという学生たち。
それだけ、魅力的な合宿のようです。



清教授の合宿の目標は、「奄美を徹底的に遊ぶ」。

大きな目的としては、
・奄美の伝統的な文化や暮らしにふれる <シマ唄、八月踊り、集落の人との交流>
・奄美ならではの遊びを体験 <シュノーケリング、マングローブカヌー> 
・島の人との意見交換 <Uターンで島に戻ってきた若い世代がどのような仕事についているか話を聞く、また大阪の若者がどのような関心を持っているかを島の人に聞いていただく>

だそうです。

実際に学生たちが体験したものは、

・シマ唄、三味線演奏
・海遊び(シュノーケリング、バナナボート)
・加計呂麻島 徳浜 塩工場見学 
・加計呂麻島 渡連 集落散策、浜辺で貝採り
・ケンムンについて話を聞く
・清水集落 八月踊りに参加
・旧暦七夕の行事体験 <竹を朝立てる、朝露(若水)で墨をすって願い事を書く>
・マリンスポーツショップ Uターン若手経営者に話を聞く
・貝アクセサリーづくり
・清水集落 92歳のお年寄りに話を聞く
・奄美市住用町でマングローブカヌー、モダマ・フナンギョの滝など山歩き
・奄美市名瀬の根瀬部集落散策、神山、カミミチ、石敢当を知る

(以下は台風で中止)
・加計呂麻島 徳浜海岸 テント泊
・近畿大学マグロ養殖場 餌付け

などなど。


清水集落の人たちと一緒に八月踊り。



なかなかこういった生の八月踊りは、
観光だと体験することができませんよね。
 


見よう見まねで踊ってみます。



こちらの学生さん、
「ボクは地方の生まれで、こういう所で子どもの頃に踊った記憶がよみがえってきて楽しいです!」
と、終始笑顔。



今回の合宿は帰る直前に、台風15号の最接近と重なり、
最後に予定していた「私の奄美体験とエコツアープランづくり」発表会が
残念ながら中止になってしまいました。

しかも帰りの飛行機は欠航につぐ欠航、帰る日を一日延期せざるを得なく、
宿泊先では停電にも合うダブル?トリプルパンチ。

引率の図師先生によると
「いろいろと大変な目にあったのですが、
現実の島の暮らしの一端を垣間見ることができて、
学生にとっては結果的にすごくよい経験になったと思っています」とのことでした。


近畿大学の文芸学部、文化歴史学科には
今年度から「文化資源学」というコースができ、
「各地に眠る文化を掘り起こして、まちおこしに活かそう」というテーマに取り組んでいるそうです。

「奄美合宿を文化資源学の実践の場にしたい」とのことですので、
今後の近畿大学の取組みに注目、
そして協力していきたいですね。

 * *

この夏だけでも、瀬戸内町には、
岡山理科大学東海大学、東京経済大学、東京外国語大学など
学生の合宿や調査での来町があり(もうすぐ沖縄国際大学も)、
年間を通してその数も年々増えているようです。

それだけ、奄美、そして瀬戸内町には
調査研究したいものがたくさん眠っていて、
魅力的ということでしょうか。

また加計呂麻島では、
学生を民泊で受け入れも少しずつスタートしています。

彼らの調査・研究テーマを知ることは、
われわれにとって、
さまざまなヒギャジマン=瀬戸内町の宝を発見するチャンス。

瀬戸内町としても受け入れ態勢を整えて、
みなさんをお迎えしたいですね。



2012.08.21・23
瀬戸内町 清水

S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会)

鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内