須子茂小学校 「旧奉安殿」

2014年10月04日 | 関連する集落:須子茂

須子茂小学校 「旧奉安殿」

瀬戸内町,加計呂麻島,須子茂集落。





須子茂集落は,加計呂麻島の西側に位置する集落です。
同集落にある須子茂小学校(現在、休校)。




校内北東部,体育館・裏には 「旧奉安殿」 (以下、奉安殿)が今も残されています。


奉安殿は戦前,主に尋常高等小学校に建てられた建造物。
建物内には,「教育勅語(謄本)」と天皇・皇后陛下の「御真影(写真)」が安置されていました。
瀬戸内町には現在6つの奉安殿が残されています。



『須子茂小学校百周年記念誌」』によると、
須子茂小学校の奉安殿は1939年(S14)9月に竣工したようです。



鉄筋コンクリート造りで,切妻(きりづま)屋根。
入口は平入(ひらいり・屋根の棟と並行な面に出入口がある様式)となっています。




屋根の上にある棟(むね)には千木(ちぎ)と堅魚木(かつおぎ)もあります。

千木は屋根の両端で交叉させた部材,
堅魚木は屋根の上に棟と直角になるように置かれた部材をいいます。



高欄(こうらん)
基壇や階段に設ける装飾性・安全性を兼ねた手すりです。




須子茂小学校・奉安殿の特徴は,「菊の御紋」が現在も残っているということです。
菊の御紋は銅製とのことでした。



【 須子茂小学校・旧奉安殿 】
所在地 : 鹿児島県大島郡瀬戸内町須子茂331
構  造 : 鉄筋コンクリート造,平屋建,基壇付
       切妻造
       平入
       懸魚(げぎょ),鬼板(おにいた),破風板あり
       四隅に角柱を型取りし,壁面は洗い出し仕上げ
       軒・・・一軒・疎垂木(ひとのき・まばらだるき)
       棟・・・千木と堅魚木あり
       高欄・・・刎(はね)高欄
       扉・・・金属製
       入口上部に菊の紋章飾りあり

       
 ※「神社建築」を範とする
 ※「国の登録有形文化財」 2006年(H8)8月 登録



【参考文献】
瀬戸内町立須子茂小学校 1980 『須子茂小学校百周年記念誌』 
鹿児島県教育委員会 2004 『鹿児島県の近代化遺産 -鹿児島県近代化遺産総合調査報告書-』
鼎丈太郎 2006 「瀬戸内町の奉安殿」『平成17年度 文化財会報』 奄美文化財保護対策連絡協議会 
鹿児島県HP
井上光貞 1998 『図説 歴史散歩辞典』





2014.9.17
加計呂麻島・須子茂集落
埋蔵文化財調査員  鼎さつき