島のお盆 諸鈍編

2013年08月27日 | 関連する集落:諸鈍
平成25年8月19日から21日は、島のお盆でした。

今回は加計呂麻島 諸鈍のお盆を紹介します。



島のお盆は旧暦で行われます。

旧暦 7月13日 ⇒ 迎え盆
    7月14日 ⇒ 中日
    7月15日 ⇒ 送り盆



そして、シマのお盆は旧暦の7月7日、七夕ともつながりがあります。


迎え盆の1週間前、旧暦7月7日。
七夕の早朝に飾りつけした竹を庭に飾ります。
ご先祖様は七夕飾りめざして帰ってくると言われているので、
ご先祖様に帰る所をわかってもらうように高くあげます。
七夕の日は、なぜか雨が降る事が多いようです。




そして、7月13日の早朝に七夕飾りをおろします。
130819七夕下ろす








7月13日前日までに、各家庭ではお盆の準備が行われます。
130821旧盆 祭壇
祭壇には果物や型菓子(ムスコ)やりゅうひ餅などのお菓子、花(ショウロウバナを中心とした)を供えます。








お墓に迎えに行く前に、祭壇にお茶・お水・お酒をお供えします。
130821旧盆 供え物
昔は、型菓子・りゅうひ餅も各家で作っていました。
ご先祖を迎えて帰って来たら、家族でお茶を飲んだりしていました。
また、他の家に行く時は、お金を包んで持って行くのではなく、りゅうひ餅を2~3升作って箱に入れて持って行ったそうです。
こねればこねるほど日持ちがし、のびも良かった「りゅうひ餅」は、冷蔵庫のない時代、貴重なお菓子でした。
鍋にひっついて残っているのを食べるのが、子ども達の楽しみで、特に 焦げてるところがおいしかったそうです。





【15日のお供え】

①朝 おかいさん・おつゆ・塩・つけもの 
②昼 ごはん・おつゆ・煮物・酢のもの
③送りにいく前 餅の吸い物・とうふの吸い物・厚揚げ(刺身)・酢の物 

130821 旧盆 朝
①朝のお供え








130821 旧盆 夕
③送りに行く前のお供え








お向かいの家の様子も見てきました。
130821 隣家 祭壇
ここの家では、13日はお供えをしなくて、14日と15日の2日間 お供えを出してました。
(お箸はバッテンして器に置いていました⇒実家の安脚場では、ご飯に刺すそうです)





【15日のお供え】
① 朝 おかいさん・みそ汁・塩・つけもの
② 昼 おかいさん・みそ汁・かぼちゃの煮物・つけもの 

130821 隣家 昼
②昼のお供え



お盆に取り行われる様式は各家庭でそれぞれ違い、また、お姑さんからお嫁さんに引き継ぐ時に、簡素化されていっているようです。





型菓子は自分で作られていました。緑色は青汁を入れたとのこと。
130821 隣人 型菓子



お向かいさんから聞いた話によると、
実家の安脚場集落では、もう一つテーブルを出してお供えが山盛りだったようです。

(お供えの品)
・皮ピーナツをゆがいたもの
・天ぷら
・あばら
・里芋の煮付け・塩煮   など

お供えが山盛りなのは、
お供えとお参りに来てくれたお客さんに出すのと兼ねてたのでは? という事でした。








送り盆は、家から提灯を持ってお墓に行き、親戚などのお墓にもお参りします。
130821 送り








親戚の墓もお参りするので、線香もたくさん必要です。
いっぺんにたくさんの線香に火をつけるのは難しい~(>_<)
130821 墓
この時、お墓に活けていたショウロウバナは取るそうです。(写真はショウロウバナを取った後)








祭壇で飾ってあった、ショウロウバナ
130821 祭壇のショウロウバナ
※長い緑色のものが、ショウロウバナ(メドハギ)です。



昭和31年頃までの諸鈍では、15日の晩、地区ごとに分かれて、子ども達は踊ったり、各家庭をまわってお菓子(型菓子やりゅうひ餅)をもらうムチムレ行事があったそうです。







★私の素朴な疑問

  何で16日は仕事したらいけない日なのでしょうか?
  誰か教えてください。





★今回見つけた、おもしろいもの 
130821 湯のみ 表
 よく見たら、お水を備えてる湯のみは1981年!!(写真)








しかも、加藤百貨店の文字が…(写真)
130821 湯のみ 裏








お盆がいつから続いてるのかなぁと調べてみると、
『瀬戸内町の文化財をたずねて』に「昭和に入ってから島に広まった行事のようである。」と書かれていました。
130821 旧盆
私の故郷、大阪ではお盆といっても特に何をするわけでもないので、島で毎年先祖を祭るのはすばらしい習慣だと思います。
これからも、ずっと続いていって欲しいです。








130821 加計呂麻島 諸鈍
調査員 NORi

参考文献『瀬戸内町の文化財を訪ねて』