旧暦五月五日あたりになると、
島の商店やスーパーで並んでいる「あくまき」。
やはりゴガツゴンチ、子どもの節句にいただくものです。
このふたつは「せとうち海の駅」の売店にて。
ふだんは並んでいませんが、ゴガツゴンチなので置いているそう。
どちらも瀬戸内町のお店、
保生堂の「ちまき」と、大城もちやの「あくまき」(きな粉付)。
(「あくまき」のことを「ちまき」と
鹿児島方面では呼ぶことも多いようです)
大城もちやさんにお話をうかがったところ、
「あくまきは年中作っているけど、
ゴガツゴンチの時期は特に多く出ますねー」とのことでした。
ちょうどあくまきを2本購入するかたが。
あくまきは鹿児島本土や奄美、南九州地方で食べられているもの。
北部九州出身の広報隊員Kは
まったく知りませんでした。
あくまきの作り方は独特で、
灰汁につけていた餅米を
おなじく灰汁につけておいた孟宗竹の皮で包み、
さらに灰汁で煮ます。
瀬戸内町の郷土料理教室で作ったあくまきは、
孟宗竹の皮ではなく、
サラシを袋状に縫いあわせて
そこに餅米を詰めて煮る方法をとりました。
島では、かつて五右衛門風呂が多く、
薪を燃やした灰を使ってあくまきを作っていた家庭も多かったようです。
「あくまきを作る灰にするから
薪以外の変なものを燃やす材料にしないように」なんて、
おかあさんに注意されていた思い出があるシマッチュもいらっしゃるかもしれません。
こちらは別の商店に売っていた「あく巻」。
あくまきにつけて食べるための黒砂糖も、
ちゃんととなりに置いていました。
お店は瀬戸内町古仁屋の「田原商店」さん。
外には、お墓参り用のお花などと一緒に
菖蒲も販売。
同じく旧暦五月五日に
軒先にさしたり、菖蒲湯にしたりします。
「2~3日前に来ていれば、菖蒲も青々していたのによ~」とお店のかた。
菖蒲など、季節の行事に使うものが
店先に並んでいる姿は風情があってなんともいいものですね。
灰汁を使っているのでアルカリ性食品としてミネラルも豊富で、
かつては保存食の役割もあったとか。
私自身は、あくまきを初めて食べたときは、
味があるようなないような微妙な感じに「うーーーん・・・」となりました。
きな粉や黒砂糖を
これでもかとまぶして食べた覚えがあります。
シマッチュに聞いても「美味しいものとは思えないんだけど・・」と言う声をよく聞きますが、
それでも、ゴガツゴンチになると恋しくなる
シマの味なのかもしれません。
2012.06.24
瀬戸内町古仁屋
S.B.I (瀬戸内町文化遺産活用実行委員会)