平成26年9月24日(水)、埋蔵文化財分布調査を行いました。
今回の調査地は、『嘉徳集落』
嘉徳集落の海岸線は、“黒っぽい砂浜” と “アダンが群生する砂丘” で形成されています。
現在、奄美群島の海岸では、コンクリートの 『堤防』 が主流になっていますが、
嘉徳集落では、現在でも 『アダン群による自然の防波堤』 を見ることができます。
(アダンの映像遺産はこちら)
『瀬戸内町遺跡詳細分布調査報告書』によると、
嘉徳集落では、下記の遺跡が確認されています。
○嘉徳アサト遺跡 (嘉徳遺跡)・・・約4000年前の縄文時代の遺跡
○嘉徳集落遺跡・・・古代~近代の遺跡
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今回は、集落内の表面採集調査を行いました。
表面採集調査では、
主に畑を歩き、地表面に落ちている遺物【いぶつ】を探します。
なぜかというと、畑では、地面を耕す際に、地中の遺物が地表面に出てくることがあるからです。
畑の耕作で、何気なくよけられた物の中に、
遺物が含まれているということは、
現在、私たちが住んでいる土地に、昔から人が住んでいた証拠でもあるのです。
畑の隅で調査をしていると、青磁を発見!
この青磁は、中国で作られたものです。
こうした調査で得た “遺物” と “採集地点” を地道に調査研究することで、
各時代 の “人々の生活空間” を推測することができます。
今回、表面採集した遺物
土器、中国産の陶磁器,本土産の陶磁器,陶器,貝
今回の埋蔵文化財調査によって嘉徳集落では少なくとも古代~近代の遺物を採集することができました。
表面採集調査の後は、遺物の水洗作業を行います。
水洗作業の様子は、別の機会にご紹介しますね。
また、せとうちなんでも探検隊『シマの紹介』も 調査に並行して更新を行っています。
調査を行いながら、
各集落の紹介も 最新情報を更新していきます。
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本事業の埋蔵文化財分布調査では、
集落の区長さんに連絡を取り、調査を実施しています。
遺物の採集についても “調査” として行っており、整理・報告後は、公的機関で保管・公開・研究を行います。
個人的な採集は、ぜったいに行わないでください。
【参考文献】
瀬戸内町教育委員会 2005 『瀬戸内町遺跡詳細分布調査報告書』p10~13
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≪嘉徳集落調査 番外編≫
旧嘉徳小学校を利用している美術館 “ムンユスィ”
看板などが新しくなっていました。
お近くにお寄りの際は、足を運んでみてはいかがでしょうか?
集落内調査中、鳥の鳴き声が。。。
カラスバト
なかなか見ることのできない “カラスバト” なのですが、
この日の嘉徳集落で、見かけた鳥のほとんどが “カラスバト” でした。
さらに、帰りの車中 コロコロっと見えたモノは、
アマミノクロウサギのフン
道の真ん中に転がっていました。
遺物だけでなく、
“集落内の面白いもの” や ”貴重な自然” も発見できた一日となりました。
2014.9.24
瀬戸内町立図書館・郷土館
埋蔵文化財調査員 正智子