ヤマシギを保護した日

2014年03月09日

2013年11月12日(火) 
瀬戸内町立図書館・郷土館の敷地内にて、 「ヤマシギ」 を保護しました。
今回は「ヤマシギ救助搬送の流れ」を報告します。


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早朝、敷地内の掃除をしていると、飛べなくて横たわっている鳥を発見しました。

9月に行われた SBI講座“動物病院の先生がやってきた”で、傷病動物の救助方法を学んだばかり。
奄美動物病院の伊藤獣医師にすぐに連絡しました。


保護した鳥は「ヤマシギ」
ヤマシギは本土にも生息する鳥で、奄美には秋に渡来する冬鳥です。
(ヤマシギと似ている鳥でアマミヤマシギがいますが、
アマミヤマシギは日本固有種であり奄美群島や沖縄だけに生息する鳥です。)

ヤマシギを段ボールに入れ、
瀬戸内町から車で約1時間の名瀬市にある奄美動物病院へと向かいました。

移動中の車の中では、音を出すことは動物にとってよくないことだということで、
『大丈夫、こわくないよ。早く治して元気に帰ろうね…』
と心の中で呟きながら、スピードを出さずにゆっくり運転して向かいました。

本当にドキドキ、言葉は伝わらないだろうから念じてパワーを送るだけに。
自然の音を聴きながら、無言の1時間となりました。


奄美動物病院に到着。
とても立派な施設で、設備も整っていて安心できます。

先日の講座でお会いした伊藤先生にヤマシギを託しました。
段ボールの蓋を開けると、ヤマシギは目をキョロキョロさせていました。
生きててよかったぁ。
移動中は、とても心配でしたから。

講座で、「搬送途中でのぞきこんだらいけませんよ」と教わったのです。
箱を開けた時に光が差し込むと、光に向かって突っ込んでくることもあるそうです。
そのことを知らなかったら、絶対、途中で車をとめて様子を見ていたと思います。
先生のもとに無事に運んでこられてほっとしました。

治療するため、伊藤先生がヤマシギに麻酔をかけています。


クチバシまで入るようにマスクの形も大きくできています。
さすが、動物病院ですね。いろいろ工夫がされています。



先生が何かを発見されました。
ヤマシギに“コバエ”がついていました。
もしかしたらこのハエは、この鳥だけについてる種類かもしれないということで、採取して研究の資料にされるそうです。


そして、外見からはわからなかった傷が見つかりました。
傷口は、ピンセットが奥深くまで入るほどの深さでした。
左足の付け根の神経から首を、猫に咬まれていたようです。

ヤマシギが立ち上がろうとするのですが、バランスが保てない様子でした。
とても、痛そうです。


傷口に、抗生物質を直接注射で打っています。
先生の真剣な眼差し。

猫の唾液のばい菌の多さは、室内外の飼育に関係なく強いそうです。
助かる可能性は、低いというお話をされていました。


麻酔が効いているようで、眼がボォーっとしています。

シギちゃん、こちらに戻ってきて!!
願う気持ちで胸がいっぱいでした。


私自身、野生動物を保護することは初めての経験でした。
保護することは簡単なことではなく、今思えば発見した時は、かなり動揺していたことに気づきました。
見つけて良かったというよりも、見つけてしまったどうしよう、という気持ちでした。
そんな中、講座で教えていただいたことを思い出しながら、無事に病院に着くことができた時は、本当に安心しました。


奄美の多くの動物と一緒に人間も同じ動物だということ。
今回のことで改めて人間と動物が共存できる環境を作っていけたらいいなと思いました。


今回は、伊藤先生の許可をいただき治療風景を撮影させていただきました。
本当にありがとうございました。


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平成26年3月15日(土)14時から
瀬戸内町立図書館・郷土館2階では、
SBI講座 『野鳥のお話』『バードセーバー作り』  を行います。


今年度のSBI講座が始まった頃からメンバー同士で
「バードセーバー作りをしたいね」 という話をしていました。
というのも、図書館・郷土館の大きな窓にぶつかって鳥が失神することが、何度かあったからです。
わたしたち人間が、窓に汚れがつかないように、ピカピカに磨いても、
鳥たちにとっては、窓に反射した空のむこうの景色は自由な空間。
窓に衝突するなんてことは、動物たちにはわかりませんよね。

動物が、人間のつくったもので事故に合わないようにする一つの方法が、

『バードセーバー』

鳥の衝突を防ぐ為に、猛禽類の形に切り取った絵を窓に張ります。
(猛禽類とは、タカやワシなど鳥の中でも強い存在の種類です)

同じ場所に何度も鳥がぶつかって死んでしまったり、失神したりするというお話を聞いたことがある方は、
ぜひご参加くださいね。
窓ガラスにバードセーバーを張ることで、鳥の衝突を防ぐことができるかもしれません。


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今年度実施してきたSBI講座も最後の講座を迎えることになりました。
最後の講座は、『野鳥のお話』と『バードセーバー作り』、『諸鈍探鳥会』を行います。
講座の詳しい内容は以下の通りです。

3月15日(土)14:00~
『野鳥のお話』 と 『バードセーバー作り』 を行います。
講師は、奄美野鳥の会の清正(せいしょう)先生をお迎えします。
参加無料です。
クレヨンなど持参くださいね。

子供たちの自由な発想と豊かな色彩を楽しめるはずですよ。
奄美の子供たちは、とっても絵が上手だもん。
きっと、大自然のなかで生活しているから、自然に身に着いているのでしょうね。
とてもいい環境ですよ。


3月16日(日)
自然観察会 『諸鈍の探鳥会』 を実施します。
加計呂麻島の諸鈍集落は、水田の多い集落。
ここは毎年冬鳥や旅鳥が多く立ち寄る場所だそうです。
加計呂麻島の方は、現地集合です。
奄美大島からの方は、フェリーカケロマ8時10分発で生間港に向かいます。
生間港から諸鈍集落へは、歩いて移動します。
お弁当は持ってきてくださいね。
帰りは、フェリーカケロマ12時10分発にて古仁屋へ戻ります。
参加費用は無料(船代は実費(往復500円)です)
16日(日)の探鳥会は、保険加入しますので、申し込みが必要です。
悪天候の場合は、中止となりますので、その連絡なども必要ですので、加計呂麻島で参加される方もご連絡ください。


バードセーバー作りや自然観察会など、奄美の自然を学び、守るにはどうしたらよいか。
子供たちだけでなく、大人にも知ってもらいたい。
ヤマシギを保護したことで強く思いました。

小さい子供たちに自由に絵をかいてもらい、楽しい時間も過ごせると思います。
親子でぜひ参加してくださいね。


瀬戸内町古仁屋 2013.3.2
調査員 彩将友