奄美の伝統民具 テル(竹の入れ物)作り 動画

2012年10月27日
瀬戸内町 文化遺産活用実行委員会では、
貴重な文化遺産を写真だけでなく、
動画で残していこうという事業もおこなっています。

今回は、2012年の3月に撮影された
テル作りをダイジェスト版にしましたので、ご覧ください。

教えてくださったのは、民具工芸作家の永田明正さん。
7月には、図書館・郷土館のイベントでテルづくりの講師をしてくださいました。

テルとは、畑で芋を入れて運搬したり、
海でとった魚を入れておく竹製のカゴのことです。

大きさによって呼び方も変わり、
ここでは、野菜入れに使う大きな50斤(30kg)はいる入れ物をテル、
魚用の小型の入れ物をイベラクと呼ぶこともあるようです。
本土はではビク(魚籠)といったところでしょうか。






テルを作る過程は以下のとおりです。

●竹の採取

作るものにあった竹を選んでいきます。

同じ種類の竹でも使いやすいものと使いにくいものがあるとのこと。
さらに使う竹の種類によって新竹から数年ものまで変えるようです。



●竹を割る 

竹を十字に木を組んだ道具で4つに割ります。

その後、さらに3つから4つに割って四角い細い竹の棒を作ります。



●竹を割いて竹ひごを作る

青い外側と白い内側をナタを入れて分けていきます。

内側にある竹の節は先に落として平らにしていました。
私も割かせてもらいましたが、全く厚さが均等にならず・・・。

見てると何気なく割いていくのですが、ほんとうにすごい技術ですね。

ちなみに竹ひごは、当日でないとが乾燥して曲げられなくなるので、
テルを作りながら足りない分を作っていきます。



●底を組む

外側と内側を一組として、底と側面の縦になる竹をひいていきます。

色が綺麗になるように中心側を白、外側を緑に。
テルイベラクによってサイズが違うので、底に置く本数が変わります(動画はイベラク)。
縦と横に同じ数だけ十字にして重ねていきます。



●脚を作る

底の縁から脚になる竹ひごを入れていきます。

半周行くともう一本竹ひごを入れます。それで2本にして縦の竹ひごを挟むよう入れていきます。
脚の立ち上げが全行程の中でも大変なところです。
ちょっと無理やりやっているようにみえますが、
竹は割れない絶妙な力加減です。



●側面の立ち上げ

脚ができると、あとは側面を淡々と作っていきます。



●腰に当たる曲線を作る

側面がある程度立ち上がると、
背中に担いだ時に腰に当たる曲線をつくります。

この曲線が感動するほど美しいですよ。



●縁を作る

本体の最後は、入り口の縁を曲げて止めていきます。
ひごを折りたたみながら綺麗に入れていきますね。



●足の強化

脚は形づくられていますが、
このままだと擦り切れたりするので、竹とヒモで補強します。

これは交換できるので、摩耗してきたらこの部分だけ作り変えることができます。
ものを大事にする昔の人の知恵ですね。



●耳の作成

担ぐためのヒモを通すみみを作ります。



●縁の強化

最後に縁もばらけないように、ヒモを巻いて強化します。




これで完成!

永田さんが実際に作られた時間は4時間程度です。
淡々と作りどんどんできていきました。
ここで使用した道具はほとんどが永田さんの手作りです。

テルは瀬戸内町立郷土館に現物があるので、機会があれば見に来てください。
また、集落によっては、普通に使われている方々もいらっしゃいますので、
奄美のかたは自分の住んでいる集落で見ていただければと思います。

最後に
動画を見て作ってみたいと思っても、
なかなか作れるものではなさそうです。

私も少し体験でしましたが、最初の竹ひごすら作れませんでした・・・。

永田さんにはテル作り教室をしてもらうようにお願いしてあります。

またできる日が決まりましたらアップしますのでぜひご参加くださいね。







2012.03
瀬戸内町


S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 現場監督M

鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内