SBI講座『リュウキュウ藍染め体験』(型染め)

平成26年2月22日(土)、23日(日)に
平成25年度瀬戸内町文化遺産活用実行委員会講座が行われました。

今回は奄美の染色技法のひとつ、リュウキュウ藍を用いた「藍染め」を学び楽しむ講座。
そして今回は「型染め」「しぼり染め」の二つの染色方法にも挑戦しました。

***
平成26年2月22日(土)、
この日は「型染め」についての講座でした。


講師は 大内 一恵 先生

ご出身は大阪府で、小さい頃は切り絵が大好きだったそうです。
染色に興味を持ち、奄美に来島。
そして、独学で「型染め」の技法を学んだそうです。


「型染め」は白生地の上に型紙を置き、その上から防染糊(ぼうせんのり)をへらで置き、
乾いてから染色する方法です。


これは先生の作品

型紙の彫りの細かさ・美しさに驚きますね。



これは嘉徳集落・よしかわ工房さんで染めた先生の作品。

よしかわ工房さんは今回型染めの染色でお世話になる工房さんです。



この靴下の文様も型染めで作られたそうです。

同じ型染めですが、こちらの作品は沖縄の紅型染と同じ技法を使っているとのことでした。



型染めの工程は以下の通り。
①下絵を描く
②型紙に下絵を写してカッターで切る
③型紙に紗(細かい網)を貼る
④型紙に糊を置く
⑤乾燥
⑥染色

この日の講座では、①~⑤までの工程を行いました。



先生から型染めの工程の他、型紙作りのポイントも教えていただきました。
型紙作りでの目や口の表現について。

なんだか、難しい・・・?と思いましたが、
先生が下絵を書いた後に型に合う絵に調整してくださる。と聞いてほっと一安心でした。



先生の説明が終わると、下絵描き。

完成図を想像し、カッターで切る部分、残す部分を決めながらの下絵描きです。
皆さん、10×10の下絵を前に、真剣に悩んでいます(笑)。



下絵を家で書いて持参した子も。

一番乗りで型紙へ下絵を写していました。



切り絵の本を参考にするのもいいですね。




みなさん、素敵なデザイン!








下絵が完成すると、今度は型紙作りです。

下絵を型紙に写し、カッターで切っていきます。



型紙は「洋型紙」という型紙専用の紙。

下絵が細かくなるほどカーブや角の切り方に技術が伴います。



皆さん、切る作業に集中するあまり、だんだん口数も少なくなってきていました。





カッター初挑戦!

先生に見守られながら、少しずつ慎重に・・・



できた!完成!

最後まで切ることができました◎



皆さんの型紙













なんとか型紙作りを終えると、次は「紗張り(しゃばり)」

「紗」は型紙の補強用の布。
これを型紙に貼り付けていきます。



型紙には糊がついており、アイロンをあてると型紙と紗がくっつきます。

黄色い「離ケイ紙」と呼ばれる耐熱紙をしいた上から、5秒ほどさっとアイロンをあてます。




その後、余分な紗を切り終えると、型紙は完成です。
型紙には防水処理がなされているので、半永久的に使うことができるそうですよ。



次は、いよいよ糊貼り。

真っ白のハンカチを前に、どこに模様を入れようか考えます。



使われる糊は餅米、糠、塩でできているそう。

粘り気のとても強い糊です。
固くなってきたら消石灰を入れて混ぜ、糊の状態を調節するそうです。
(今回は藍染めへの影響を考え、消石灰を入れていないそうです)



まずは多めに糊を取り、型紙の上に糊をのせます。




【糊置きの工程】

①切った文様部分を埋めるよう、まんべんなく糊をひろげていきます。
②型紙に糊が均一にのるよう、余分な糊をヘラで取っていきます。
③型紙の切った部分を糊で埋めるくらいの薄さ、に糊を残します。
④糊置きが終わると、ハンカチから型紙をそっとはずします。


糊を取りすぎると、染色時に色が染み込みやすくなるとのこと。
薄すぎず、厚すぎず・・・
この塩梅が難しかったです。



型紙は続けて糊置きせず、その都度水洗いし型紙についた糊を落とします。

そうすることで、型紙通りの糊置きができ、美しく染色できるそうです。



糊置きがうまくできなかった部分は、後から妻楊枝などで修正も可能なようですよ。





さぁ。糊置きを始めましょう。

型紙の枠外に糊がはみでないように、慎重に慎重に。




みなさん、黙々と糊置きに熱中しています。



糊置きが終わると、乾燥です。

この作業は今の季節だと数時間干すだけ。
先生によると、糊置きの時期は冬場がベストとのこと。
湿気の多い時期だと、ドライヤーを使って乾燥させても、
すぐに空気中の湿度によって糊がふやけてしまうそう。



続いて、翌日の染色工程について説明がありました。

型染めの染色時のポイントは、「急がない、ゆすらない、リラックス」
ゆっくり染色液に布をひたし、染色・・・そして、ゆっくりハンカチを引き上げる。
これは、
糊が水分を吸うと膨らむため、染色液の中でゆすったりすると糊が布からはがれやすくなるからなんだとか。
美しい型染めの作品作りは、染色の時間をゆっくり楽しみながら作られるんですね。




***

翌日の2月23日(日)
この日の会場は瀬戸内町嘉徳集落にある「よしかわ工房」さん。




瀬戸内町でリュウキュウ藍による藍染め体験ができる工房です。




これは藍の染料タンク!
「藍の華」がふわふわ浮いていました。

思わず覗き込んでしまいます。




さぁ、いよいよ染色開始です!

「急がない、ゆすらない、リラックス」を合言葉に
ハンカチをゆっくりと藍の染料へひたしていきます。



ハンカチを持つ指先まで染料につかったところでストップ。

ここで、昨日先生がお話しした「リラックス」の意味が判明。
ハンカチの両端をピーンと張りながら高さをキープするので、
思わず肩に力が入ってしまうのです。
リラックスしながらの2分間は、けっこう長かったです。



そして、ゆっくりハンカチを引き上げていきます。

糊は染料を含み、はがれやすくなっているのでハンカチがたわまないよう
ゆすらないよう気をつけます。



引き上げると、染料の表面ぎりぎりの高さでハンカチを2分間キープします。

「藍の色の変化を楽しんでください」
先生の一言に、みなさんじ~っと色が変わっていく様を観察。



碧色から藍色へ。
藍の染料は空気に触れると藍の成分が酸化します。
すると碧色から藍色へと徐々に色が変化していくそうです。


そして、もう一度ハンカチを染料の中へ。




2分間、またじっと待ちます。




ハンカチを引き上げると、最後の酸化。

物干し竿に2分間、ハンカチを干します。



これが終わると、糊落とし。

ハンカチについた糊と余分な染料を落としていきます。



糊が洗い流されると、染め抜いた模様がでてきましたね。





水洗い後は、乾燥。

完全に乾くと糊を置いた部分の白色がよりはっきりでてくるとのこと。



1回目の染色後の色




そして、2回目の染色、糊落としまで終わった後の色

碧色から藍色へ
色の変化がはっきりわかりますね。




乾燥後。

愛らしい模様に、ほっと和みますね。
藍の池に浮かぶ蓮の花。美しい!


「島ぬ宝」!





さっそく、型染めのハンカチをバンダナにしている子供も。





1日目の型紙作りから始まった、「型染め」。
細かい文様を自分の手で切り出し、
糊を置き、色を染める。

ハンカチを洗い、模様が浮かび上がるたびに、
思わずにっこり、みなさんの笑顔が増えていきました。


今回の講座ではリュウキュウ藍による藍染めに「型染め」の技法を取り入れ、
新たな藍染めの魅力に触れることができました。

じっくり時間をかけて自分で作った藍染めのハンカチ。
講座に参加された皆さんにとって、きっとお気に入りの一枚になったのではないでしょうか。



大内先生、よしかわ工房の吉川さんご夫婦
貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。




2014.3.9
SBI調査員  S.K