平成26年3月23日(日)
瀬戸内町文化遺産活用実行委員会の最後の講座&調査を実施しました。
↑この写真とても面白いと思いませんか。
大海原で、なにかを探していますね。
なにかを発見した人もいますね。カメラをかまえる人、そして、微笑む人もいます。
この日は、最高に贅沢な一日を島の子供たちとともに過ごすことができました。
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奄美大島で今が旬のものと言えば!
『ホエールウォッチング』
この奄美大島は、12~4月にかけてのみ来遊する“ザトウクジラ”と出会うことができる海なのです。
今回の調査は、実際に行われている鯨類調査を
島の子供たちに体験してもらおうという企画。
2013年1月12日にSBI講座&子供調査 を開催しましたが、あいにくの悪天候もあり
その日はイルカとクジラを見つけることができませんでした。
今年度の当委員会の活動も終了間近ではありましたが、
この時期を逃すのはもったいない!と、
子供調査『イルカ&クジラ見つけ隊』のリベンジ企画を決行しました。
今回は当初予定していた調査日を悪天候のため延期し、二日後に無事開催することになりました。
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講師は、前回もお越しいただいた
奄美海洋生物研究会の興克樹先生
2013年、奄美イルカ・クジラ協会を立ち上げ、
奄美大島周辺における鯨類調査を精力的に行われています。
本日の、調査終了後には、
SBI講座『奄美と沖縄の海より ザトウクジラ最新照合結果報告』が控えております。
一日頑張っていきましょう!!
今回も、カケロマホエールプロジェクトのみなさんに協力していただきました。
カケロマホエールプロジェクトは、
2006年に瀬戸内町のダイビングショップで働くイルカ・クジラ好きなみなさんが集まり、
冬場の観光資源のひとつに“ホエールウォッチング”を目指そう、
まずは、目撃情報を集めよう、という話から始まったもの。
実は、SBI調査員もこのプロジェクトにかかわってるメンバーの一人。
あれから8年がたちました。
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まずは、打ち合わせです。
今回依頼したプロジェクトのメンバーは、
この瀬戸内町の海を13~25年間、潜り続けている海の案内人、そして、イルカ・クジラ好きなみなさんです。
最新の目撃情報は、携帯メールを利用したメーリングリストで共有されます。
実は、この前日まで、瀬戸内町の海域でクジラの目撃情報が得られていませんでした。
2日前に入ってきたメール情報では、
『市崎(住用)からジャナレ(請島)探しましたが(クジラは)みつからず、声はかすかに聞こえています』
前日には、
『久瀬でもぐったけど、声は聞こえませんでした』
『古仁屋から与路島経由の東シナ海北上中、何も出ず』
『小湊~市崎クジラいません』
・・・
興さんから、
『た、耐えてください。。最後に出ますように』
・・・
そして、深夜に届いた!
『花天沖クジラ通過中。ブリーチもしている模様。音のみ、イカ釣り中の●○●より』
うれしい情報が入ってきました!
当日の朝には、興先生の説明があり、期待が高まります。
「西側にはクジラがいると思われますので、今日は、東シナ海側に向かって調査を行います」
この日は、海洋動物の調査を行っている奄美.アジアさんの協力により、3隻の船に分かれて出発!!
同じ海域を3隻で探します。
本日は、晴天なり!2日前の時化(しけ)もおさまり、絶好の調査日和。
空気も澄んでいて、今日は、遠くまでよく見えそうです。
子供たちも探す気満々!!みつけるぞ~!
出港15分!さっそく!!!加計呂麻島で!!
ミナミバンドウイルカを発見!
15~20頭の群れ。
デリキョンマ崎から芝・ふるさと海岸まで移動していました。
子供のイルカもいて、一生懸命泳いでいる姿を見ることができましたよ。
子供たちの探すチカラのすごいこと!あっちあっち!と見つけるのが早い!!
幸先のよいスタートです!!
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ミナミバンドウイルカは、この瀬戸内町の大島海峡で日本初記録となった種類のイルカです。
この奄美沿岸域を生息地とし、通年見ることができるイルカでもありますよ。
前回の講座では、→ 「シンポジウム 奄美のイルカ・クジラ 2012」
沖縄海洋博のため、1974年にミナミバンドウイルカがこの大島海峡で捕獲されたお話がありました。
加計呂麻島の『知之浦』で追い込み捕獲され、
大島側の『久根津』で蓄養・調教訓練が行われました。
そして、その時に沖縄に運ばれたイルカが「オキちゃん」と名付けられ、
現在でもイルカのショーで活躍しています。
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子供たちの声
「イルカは見たぁ~。だって見たことあるもん。イルカのショーと船(海上タクシー)で見たぁ。クジラが見たぁい」
なんて贅沢な叫びをしている子もいました。
もちろん、初めて見る子もたくさんいたので、じっくり観察しましたよ。
さてさて、いよいよ、外洋へと向かいます。
瀬戸内町には、“瀬”と呼ばれる岩場が随所に点在しています。
この日は、釣り人がたくさんこの“瀬”に乗っていました。釣り船もたくさん出ていましたよ。
「イルカやクジラが出ると魚が釣れなくなる」と言われているので、
釣り人や漁師さんにとってクジラさんの出現は喜ばしくないこと。
でも、この8年間で、釣り人や漁師さんからたくさんのクジラ目撃情報を提供していただいています。
外洋に出ると、3隻あっという間に、船が見えなくなりました。
各船“水中マイク”を投入します。
わたしたちの船は、声をひろうことができません。
他の2隻は、遠くで鳴いている声をひろっていました。
・・・
場所をかえて、無人島の“夕離れ”の南側へ
3度目でようやくかすかな声を聞くことができました。
子供たちも、よ~く聞いています。しかし、クジラの気配がない。。。。
しばらく漂っていると、徳之島の方向(南)にでうごめく黒い物体!尾びれをあげた!!
いたぁ~!!!
船首を徳之島へ向け、ゆっくり移動。。。この時点で、見た子と見てない子がいます。
見つけた子の表情が忘れられません。まばたきせず、遠くを探します。
気づけば、与路島の南西の沖合。
クジラは、潜ってしまい、なかなか姿が現れません。
ほかの船も合流し始めた頃、
船の2階で見ていた調査員の奥村さんが、
「いたいたいた!!!船のしたぁ~!」
と叫んだと思ったら、優雅に泳ぐ子クジラが船のすぐ横に!!
そして、子供たちの目の前に登場!
突然すぎて、ピントがあいませんでした。
こんなにまじかでクジラを見ることができました!!子供たちもおおはしゃぎ!大人も大はしゃぎ!!
船の下をくぐったりして、クジラさんが遊んでくれてます。
夢のような時間を過ごすことができました。
別の角度から
アクアダイブコホロさん撮影のショット
とても、とても素敵な写真です。
ザトウクジラ2頭の親子でした。3隻が合流し、親子クジラをしばらくウォッチング!
3隻の真ん中で登場するシーンもありました!
迫力満点!!たまりません!!手が震えてぶれぶれです!
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お昼も、まわっていたので、子供たちもおなかペコペコ!!
クジラよりごはんです(笑)
船の上でお弁当タイム。美味しそうな愛情弁当。
でも、まわりにクジラがいるので落ち着きません。
2~3時間ほど親子クジラを楽しむことができました。
もう、帰る時間だけど、粘りたい気持ちも。
そして、いいタイミングでクジラの登場。なかなか帰してくれません。
なんて贅沢!!
帰港予定を少しオーバーしていましたが、そろそろ戻りましょう。
みな、満足げな表情で、古仁屋港へと向かいます。
大島海峡の湾内にはいり、油井小島付近で、先をゆく船が止まっています。
港までもう少しというところで、
まさかまさかの、ザトウクジラ!!
普段でもなかなか見ることのできない、大島海峡内でのザトウクジラの出現にもう、声が出ません。
失神寸前! 今日は、なんの日?
こんなミラクルが起きるんですね~。
本当にすばらしい一日でした。
ちょっと惜しい写真ですが・・・
8年前にダイビング仲間に声をかけ、冬場の海業界を盛り上げよう!と立ち上がったのが、ダイビングショップRIKIさん
この時から、わたしもみなさんの活躍を見てきているので、なんだか胸いっぱいでした。
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クジラの個体識別に使われる『尾びれ写真』
与路島の南西海域で見られたザトウクジラの尾びれ
油井小島周辺にいたザトウクジラの尾びれ
模様や尾びれの形はもちろんですが、尾びれ先端のギザギザ部分を照合していくそうです。
ほんとうに大変な作業です。
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今回は、保護者の方にも参加を呼びかけました。
*アンケートより(大人の声)
・前回、子供が楽しんでいたから、今回参加しました。
・奄美に住んで6年くらい経つが、まだ見たことがなかったので参加しました。
・イルカもクジラも見ることができて、満足しました。
・また、いろんな講座をひらいてほしいです。
*アンケートより(子供たちの声)
・この前は、見つけることができなかったけど、こんどは見つかって、とてもうれしかったです。
・船のとなりにきてくれてとてもうれしかったです。あと、ちゃんとカメラのじゅうでんをしていきたいです。
・くじらのしっぽを見た。(ハートを描いてくれてました)
・水しおをふくくじらがすごくきれいでした。こんどはもっと大きなクジラをみたいとおもいます。
・とてもたのしかったです。
感動と興奮の中、子供たちは迷うことなく、この日の感想を書いてくれました。
島の海は、ほんっっとに素晴らしいんだよっ!!
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講座の時間になんとか間に合い、
17時からSBI講座 『奄美と沖縄の海より ザトウクジラ最新照合結果報告』 が始まりました。
前夜、情報をいただいた方にもご家族でご参加していただきました!!
うれしいですね!!
まだシーズンは終わっていませんが、
今年の調査状況を、写真や映像とともに紹介してくださいました。
2014年1月28日『セミクジラ』が大和村宮古崎にて発見されています。
奄美大島では、過去5例目の発見だそうです。
調査時のエピソードもまた、面白かったです。
さらに、沖縄との『尾びれ照合結果報告』も紹介。
沖縄県では、個体識別されているクジラは、1000頭を超えています。
奄美大島では、2006年から2013年までに40頭を識別。
40頭のうち33頭が沖縄で見られているクジラと一致しているそうです。
また、奄美でしか確認されていない個体もあるそうですよ!!
沖縄では、一頭一頭に名前が付けられています。
奄美バージョンもつけまいですかね~。
今年の尾びれ写真などの情報は、こちらをチェック!
Humpback whales Of Amami Osima
最新情報の一部を紹介。
2014年1月22日瀬戸内町薩川湾沖で確認された個体は、
1月1日には、沖縄座間味島で確認されています。
2014年2月7日に奄美で確認された個体は、
2月24日に沖縄座間味島で確認。
数年前までは無かったキズも確認されているそうです。
奄美海域で見られていたクジラが約半月前、約半月後には、
沖縄の海域で確認されている。
研究されている方たちの地道な調査があってこその情報です!!
奄美大島においても今後も地道な調査が必要であり、やはりまずはデータをとることが大事。
“燃料費”という切実な問題もあり、今後の課題としても挙げられました。
8年前にみなが夢見ていた“ホエールウォッチング”が、実現されていることに、とてもわくわくしてます。
“参加者みんながクジラを見ることができた!”
忘れられない一日となりました。
今回は、急な講座依頼に応えてくださった、興先生。
沖縄の座間味村ホエールウォッチング協会のご協力もあり、本当に充実した講座となりました。
子供調査隊員たちもほんとうにがんばりました。
いつも情報をくださる島のみなさん。
ほんとうにありがとうございました。
カケロマホエールプロジェクトのみなさんも
安心・安全航海にてご案内、ありがとうございました。
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クジラの見られるシーズンも終盤にさしかかっています。
シーズンが終われば、そろそろ、大島海峡で見られる『ミステリーサークル』の時期がやってきます。
いい風が吹いてきましたね。。。
2014.3.23 奄美大島 瀬戸内町 与路島南西の沖合 油井小島
SBI調査員 Tadashi