2014年1月12日(日)、
瀬戸内町文化遺産活用実行委員会主催の講座が行われました!!
午前中は、瀬戸内町立図書館・郷土館の2Fで、
「あまみの海のいきものたち」
奄美海洋生物研究会の 興 克樹 先生
「イルカ・クジラ教室 あまみ編」
沖縄美ら島財団 美ら島研究センター 岡部晴菜 先生のお話です!
まずは、奄美海洋生物研究会の興 克樹 先生が
奄美の海で見られる生物のお話をしてくれました!
「クレナイオオイカリナマコ」は、大きいものでは全長4mにもなります!!
世界でも最大級の大きなナマコで、大島海峡内に生息しています。
「オオフトユビヒトデ」
こちらも、最大級のヒトデ!大島海峡内や外洋の岩場などで見ることができます!!
「ミナミバンドウイルカ」
もともと「バンドウイルカ」だと思われていましたが、瀬戸内町で新種であることがわかって、
「ミナミバンドウイルカ」という名前がついたのだということも紹介されました!
瀬戸内町は、国内でも数少ない、ミナミバンドウイルカの生息地だそうです!!
さらに!
これからの季節にみられるザトウクジラの回遊地であることが紹介され、
岡部先生から詳しい、イルカやクジラの生態についてお話が続きます!
イラストやゲームなどで、子供たちにもわかりやすく教えてくれます!!
イルカは、目・鼻・口、あまり知られてはいませんが、「耳」もあるのだそうです。
イルカ と クジラ は、同じ 「鯨類(げいるい)」 という仲間になり、
体の大きさによって、大きい仲間が 「クジラ」 、小さい仲間が 「イルカ」 にわけられています。
また、歯の形でもわけられていて、 「ヒゲクジラ」 と, 「ハクジラ」 にわけられます。
ハクジラは、するどい歯で小魚やイカなどを食べます。
ヒゲクジラでは、海水と一緒に小魚と小エビを飲み込み、ヒゲにより、海水をこして食べます。
ヒゲクジラ の ヒゲ板 の説明。
小さい 「ヒゲ板」 でも、岡部先生の頭より大きいですね。
実際に ヒゲクジラ の 「ヒゲ」 と ハクジラ の 「歯」 を見せていただきました。
ヒゲ というより、芸術作品!
イルカ・クジラのお話の後、簡単なクイズが始まりました!
それでは、問題!
①クジラの潮吹きの正体は?
吐く息 or 体内の余分な海水 (正解は、吐く息)
②イルカ・クジラの赤ちゃんは、どのように生まれてくるのでしょうか?
卵 or 赤ちゃん (正解は、赤ちゃん)
③イルカ・クジラはまわりの水温により体温が変わるのでしょうか?
変わる or 変わらない (正解は、変わらない)
④イルカ・クジラの年齢は、何を調べればわかるでしょうか?
歯 or 耳のあか (正解は、両方)
⑤全86種類のイルカ・クジラで奄美で確認されたのは?
8種類 or 19種類 (正解 19種類)
全問正解する子供たちもいました。
皆さんは、何問正解できましたか?
ミナミバンドウイルカの生態
「ミナミバンドウイルカ」 と 「バンドウイルカ」 の違いでは、
口が長いのが ミナミバンドウイルカ
小さい方が、 ミナミバンドウイルカ
大人になると、お腹に点々が出てくるのが、 ミナミバンドウイルカ などの説明がありました。
ミナミバンドウイルカ の数少ない生息地の一つが奄美大島
いつ見られるか?いまでしょ?
いや!!
奄美大島では、一年中見ることができる可能性があるんです!!
さらに、沖縄の美ら海水族館の “おきちゃん” は、
瀬戸内町から、ヘリコプターで運ばれたことも紹介がありました!!
今も現役で活躍する “おきちゃん” の映像が流れると、会場の子供たちも大人たちも釘づけでした!!
いよいよ!ザトウクジラのお話しです。
ザトウクジラは、季節ごとに回遊をします。
冬 暖かいこの奄美大島や沖縄などで、交尾・出産・子育てをする。
夏 エサの多いロシアやアラスカなどで、思い切り餌を食べる。
海の中で鳴き声で求愛をハーモニーで奏でるクジラもいるそうです。
クジラの調査は、1991年より行われています。
海に出て、クジラを探す・観察する・尾びれの写真を撮る
鳴き声を録音する・皮膚サンプルを獲るなど、様々な調査が行われています。
尾びれの写真は、「腹面の模様(白黒の模様)」や、「後縁の形状(尾びれのギザギザ)」が、
個体ごとに違っていて、長期間変化しないことを利用して、個体識別を行っています。
そこで、子供たち3グループ 大人1グループでクジラの尾びれの個体識別チャレンジです。
一つの個体を、沢山の尾びれの写真の中から探します!!
子供たちは、ゲーム感覚で次々に同じ個体を探し当てていました!!
ビデオで流れるクジラの映像から、尾びれの個体識別も行いました。
こちらは、少し難しかったようです!!
これでもない、これかもしれないと考ます。大人も子供も楽しめるゲームでした!!
個体識別がわかれば、毎年奄美にやってくるクジラがわかります。
今のところ、識別できているのが沖縄で1166頭。
奄美では、40頭識別できています。
R-57というクジラは、1992年・1994年・2011年に奄美に来ています。
沖縄と奄美で同じクジラが、33頭確認されています。
これらの調査が進むことで、
奄美大島は、通過地点なのか新たなる生息地点なのかが、解明されます。
さあ!午後からは、いよいよイルカ・クジラ調査へ出かけます。
子供たちも「イルカ・クジラ見つけ隊」の調査隊員 として、実際の調査に参加です!!
海の駅で受付を済ませます。
この日は、天気の崩れが予想されたので、時間を早めての出港となりました!
救命胴衣を着けて、いざ出発!!
※ 酔いやすい人への注意事項 ※
〇調査へ出かける時は、前の日にしっかり、睡眠をとってください!
〇酔う人は、乗船前に酔い止めを飲む!
〇胃を動かすためにも、お菓子や、飴玉を持っていく!
〇海の上は、この季節寒いのと常に風に当たるので、暖かい恰好を準備しましょう!!
大島海峡を東へ進み、外洋へ。
外洋へ出ると、波が大きくやや緊張する子供も見られました。
波を楽しむのは、やっぱり男の子たち!
南東の風・波が強く、30分ほど東側の海域を探しましたが、
これ以上の調査は無理だと判断し、海峡の中に戻りました!!
クジラ は、だいたい15分に1回の割合で、海面に顔を出すため、
30分で2回は、姿を見ることができるはずなのですが、残念ながらこの海域では、見つけることができませんでした。
そこで、大島海峡入口の波の静かなところで、水中マイクを海に入れ水中の音を聞いてみました!!
クジラの鳴き声を探しましたが、やはりこの海域には、クジラがいないのか、鳴き声も聞こえませんでした。
徐々に雨雲が近づき、雨が降ってきましたので、早めに帰港しました!!
海の駅のロビーで、今日のイルカ・クジラ見つけ隊の調査報告を書いて終了です。
クジラを見つけることはできませんでしたが、この日の調査も、鯨類調査の貴重なデータの一つとなります。
今回の調査体験を通して、 あまみのいきもの イルカ・クジラを研究する
研究者の地道な苦労が良~~くわかりました!!
個体識別の情報を、他の国の研究者と共有することで、
奄美・沖縄のクジラが、夏はロシアへ、餌を食べに行っているということもわかってきています。
これからも、たくさんの調査が実施されることで、さらに多くのことがわかれば良いですね。
そして、今回の講座・調査体験を通して、
ここ奄美大島瀬戸内町の海の素晴らしさを さらに実感しました!!
2014.01.12 瀬戸内町 大島海峡
調査員 RIKI